<絵のリメイクについて>
私は、作品をつい量産してしまうタイプです。
気持ちと勢いだけで描く事が多く、そして描きたいモチーフ(場所)は無限にあるので、手と時間が
追いつかずに、時にザクザクと描いてしまう。 特に、個展とか発表の機会があると、まずは枚数を
仕上げようというところから、気分が乗ると手が止まらなくなる。
描くモチーフは全て、大好きな風景を自分で撮った写真達。 必然的に、描いている絵も自分の愛する
対象となってしまい、「出来は悪くても可愛いヤツら」として、この世にどんどん増殖してしまいます。
仕上げる目もつい甘くなりがちで、たくさん出来てしまう。 本来は、常にもっと厳しく接しなければ
良い作品は出来ないと思うんですけれどね。。。。 まあ、それは置いておくとして。
そうやって量産した作品の中にはやっぱり、数年後に見て、これは違う、手を加えたい。という衝動に
駆られるものもいくつもあります。
そして、時に、古い作品をリメイクしてみる事もあります。 もっとイメージを近づけたいとか、もっと
好きな感じにしたいとか。 ただ単に「足りな過ぎる」と思った時はもちろんですが。 「この作品は
残さないで良い」と判断出来れば。
普通は、年月が経つと描きたい対象が変わるほうが一般的らしく、その場合はリメイクするって気持ち
的に難しいのでは?と思いますが。 もし、気持ちが既に離れているモチーフに向わなければならないと
したら。
私の場合、モチーフは常に一定なので、そういう意味では抵抗も違和感もなく、新作とはまた違った
楽しみのある作業。
リメイクをする事で、その時点での気持ちとその町のイメージに、より近づきます。 作品がその時点
の自分にアップデートされる。 でも、まっさらの「今の私」ではない。
最初に描いた時から年月が経ち、自分の変化に驚いたり楽しんだり。 気持ちも表現も。
そして、油絵の場合、絵の具が重なり層になっていくのが、時にはまた何とも言えない良い感じに
なってゆくし。様々な鮮やかな色彩が何重にもかさなった、作為的でありながら無意識に、偶然に
出来上がっていく層。
まあ、モチーフは永遠でも、気持ちも表現もその時限りのもの。 その記録(記憶)として取って
おきたい気持ちと、先に進みたい気持ちのせめぎ合いですね。 そしてもちろん、限られた保存
スペースという現実問題もあり(笑)。
そうやって、手元に残っている何枚かの絵を、何年毎かに描き直していれば、ずーーーっと数枚の
キャンバスで楽しめるので、それも良いかも(笑)特に大きい作品の場合。 省エネ絵画。
今回の個展でも、軽くリメイクした作品も展示します。 お楽しみに。
本当は「ビフォー&アフター」が出来れば面白いのだけれど。 リメイク=元のものは無くなる、
なので、絵は一枚しかないのです(笑)うーん、並べてみたい。