<海の香り、フランスへの回帰>
今回、フランスの海へ帰るきっかけとなった、ラルチザンパフュームの2つのフレグランス。
そのひとつANANAS FIZZは、華やかでシックなリゾートを思い浮かべる香り。 インド洋に浮かぶ楽園の島、仏領レウニオンを
イメージした香水。
ラム酒を一滴垂らした爽やかな果実のような、カクテルのような。 柑橘系のジューシーな香りと、ほのかに残るウッディーな
雰囲気。 魅惑的なフレンチ・バカンス。
リゾートの海の感覚です。 きっかけとなる出会い、始まり、ちょっとワクワクする予感。それでいながらさっぱりとニュートラルな。
南の海に浮かぶフランスの楽園をイメージしたとの事ですが、私はそこに、紺碧の地中海と重なるものを感じます。
夏の太陽の下で感じる、心地よい風。 夜の煌めく星空と、海に映る月。 マリンブルー、ターコイズ。 エメラルド、コバルトブルー。
様々な鮮やかな青。
<カシ CASSIS(地中海 la Méditerranée)> |
もう一つはCÔTE D’AMOUR。 フランス大西洋岸を思い出します。
果てしなく永遠の海、広々とした浜辺。 フルールドセル・塩の香りと野生の花々、ローズマリーやエニシダ、そして松や流木。
白い砂とゲランドの塩をも思わせる、ほのかにソルティーで優しいフレグランス。 心に染み込む神秘的な香り。
ANANAS FIZZよりも、もっと内面的な世界、自分の中にある海のイメージです。
潮の香り漂う静かなATLANTIQUE(大西洋岸)。 人のいない海辺の風景。 穏やかな風を感じ、荒い波の音だけが静かに
こだまする、永遠の、白と青の世界。
静かで深い愛情、人の原点にある優しさ。 癒しの感覚。 穏やかで透明な、柔らかい薄い青色で描きたくなります。
この2つの香りは、それぞれに全く違うフランスの海を表現しています。 その時々でそれぞれを纏い、想いを馳せながら描いてみました。
(Photos: from blog of l'Artisan Parfumeur Japon)