2021-02-26

徒然なるまま、旅について Ⅲ





<旅について>










<ムージャンMougins (南仏Côte d'Azur)>







遠い昔から、人は旅をしています。

これほどまでに人々を駆り立てるもの。
旅を中心に人生を送って来た私は、いつも考え続けています。旅ってなんだろう。 

そもそも「旅」とは?場所を移動する事?日常と違うところへ行く事?それとも?


自由に旅立てなくなった今、改めて考えます。
私は何故、ここまで旅に駆り立てられるのか、ヨーロッパに惹かれるのか。

今まで当たり前にそこにあったものが、ある日突然手が届かなくなる。一番欲していた、
正にその時に。 
現実にこんな事が起こるなんて、夢にも思っていなかった。

なすすべもなく、過ぎて行く時間。指の間からこぼれていく砂のように。
とにかく少しでも触れていたいと、ひたすら彼の地を想い浮遊する日々。そんな時間が
何ヶ月も過ぎました。 


みんなで笑える日々が一日も早く戻って来るように。
今私が出来る事、やるべきことを自分の中で模索し続けています。
そして、遠い空の下に想いを馳せて、ひたすら写真を見返し、絵を描いています。


その街を想うと、その場の透明な空気、光の色と香りが自然と蘇って来ます。 
まるでその場所にいるかのように煌めきながら、走馬灯のように。

気づくと、絵を描く中で、想い出の中の風景は長い年月を経て、より鮮やかに美しく
輝き続けているのです。


もしかしたら。私はこうやって、今この瞬間も旅を続けているのかも。 

どこにいても何をしていても、旅の空の下にいるかのように感じながら。

身体の移動だけではなく、心の浮遊。それも旅なのかもしれない。
身体はここにいても、気持ちはどこにでも戻れる。あの瞬間の幸せを思い出す事が出来る。 

これも一つの旅のかたちなのかも。









<ロックブリュンヌ Roquebrune-Cap-Martin>
(南仏Côte d'Azur)















<Grasse, Côte d'Azur>
南仏グラース













<北スペイン、Tui トゥイ>
ポルトガルとの国境。ヴァレンサからの景観。













<南イタリア、プロチダ島>
Procida, Italia













<シチリア島タオルミーナ>
Taormina, Sicilia












<シャッカの夕暮れ(シチリア島)>
Sciacca, Sicilia














2021-02-12

作品 / Works・ ロワールの城から / アンボワーズ (Amboise, France)




<Amboise アンボワーズ>














アンボワーズ。フランス、ロワール地方の素敵な田舎町。

ロワールは、フランスで一番長いロワール川を中心とした地方で、素敵な古城が点在します。その数は300にも
及ぶとの事。
「フランスの庭」とも呼ばれ、中世にはフランス王家の人々や芸術家を惹きつけた、優美で美しいところです。

アンボワーズ城は、ロワール川沿いの高台に建つ、美しい城。15世紀にフランス王家のものとなり、歴代の王に
愛されました。城の中には、フランス王家を表す Fleurs de Lys フルール・ド・リス(百合の紋章)のレリーフが
施された石柱もあります。

この街は、レオナルド・ダ・ヴィンチの終焉の地でもあります。

フランソワ一世に招かれてフランスへやって来たダ・ヴィンチは、アンボワーズ城の敷地にあるサン・ユベール
教会堂Chapelle St-Hubertに眠っています。城の近くには、彼が晩年を過ごしたクロ・リュッセ(Château du 
Clos Lucé)も残ります。


遠い昔、ロワール川の古城巡りツアーで立ち寄ったアンボワーズ城。

その足元に広がる城下町に惹かれ、ゆっくりと歩いてみたいという想いをずっと抱いていました。
そして、ある5月の晴れた日、長い年月を経て、ついに再訪したのでした。


この絵は、城からロワール川を臨む風景を描いたもの。長年の憧れと幸せな気持ちを込めて、優しいピンクを
使ってみました。

先日まで開催していた、神楽坂パルス・ギャラリーの企画展に出展していた作品です。数年前に描き、今回少し
手を入れたものです。

中世の様々な歴史を経て、現代のアンボワーズ城は、美しく平和に佇んでいます。そこから眺める景色は、
ひたすら優美で美しく。

想いを叶えた時間を満喫しながら、その夢のような風景をずっと眺めていました。