【アートブック紹介】No.1「三岸節子」
Facebookで「ブックカバー・チャレンジ」に参加させていただき、何冊か紹介させていただきました。
アートや旅に関する本については、つい気持ちが入って文章が長くなってしまうので、FBではなく
気が向いた時にブログで少し書かせていただこうかと思います。
アートや旅、その他諸々の書物について。
<三岸節子ヨーロッパデッサン集「旅へのいざない」>
~ 1954年の初渡欧から、在仏20年の間に旅したヨーロッパの風景を、現場で描いたデッサン集 ~
それまで花の絵を中心に描いていた三岸節子が、憧れのフランスへ渡り、初めて風景画にチャレンジ。
それから長い年月ひたすら欧州を描き続けました。そのデッサンが、エッセイと共に綴られています。
三岸節子は日本の洋画家(1905-1999)。私にとっては特別な画家のひとりです。
20年数年前。ヨーロッパを描くようになり、「ちゃんと絵を描きたい」と思い始めた頃です。
教室から勧められるまま展覧会へ行き、そこで衝撃を受けました。
始めたばかりの私にはよくわからないけれど、色彩の鮮やかさと力強さ、厚塗りの油絵の具の質感。
強く濃い赤、黄色、そして茶色。そんなものに惹かれました。こういう絵があるのだと。
精神を削って描いているような、凛としたその迫力。
しかもそれがフランス、スペイン、そしてシチリア・タオルミナの風景である事に、私は、
うまく言えないけれど、、、とにかく感動したのでした。
彼女の油絵が特に好きです。
愛知・一の宮の「三岸節子美術館」にも、名古屋のヒマラヤ美術館にも、日帰りで何回も行きました。
ちょうど2000年頃。あの頃の私は、感覚や感性に関して、とにかく手探りで貪欲でした。
そうして年月が経ち。私はしばらく、三岸節子の事をあまり思い出さなくなっていました。
自分自身の方向を考えるのに精一杯で、画家について真剣に考える余裕がなくなっていたのか?
「精神を削って描く」事に憧れ続けるのではなく、絵をもっと「日常的に当たり前に」描く事にも
惹かれて来たからか?
でも今回、「印象的な本」をと考えた時に、ふと心に浮かび、手に取りました。
久しぶりにこのデッサンとエッセイを見返すと、20年近く前とまた違う響き方をして来ます。
感覚はその時々のもの。きっと次にみる時には、また違う事を考える事でしょう。
「果たして私は風景画家となっただろうか。私はあくまでも名所旧跡の絵葉書のような風景にはしたくなかった。
自分なりに消化し、私の世界を造ったつもりだ。」(本文より)
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<2005年生誕100年記念展図録(日本橋三越)>
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(油絵「タオルミナの劇場」(右))
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ヴェネツィア
(WEBより)
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スペイン
(WEBより)
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